家賃滞納を続けると、最悪の場合「強制退去」となり得ます。誰もが避けたいと考える道ですが、生活の中で予期しない出来事が起きると、経済的困難に見舞われることもあるでしょう。家賃の支払いが困難になると、結果的に滞納の可能性が生じます。家賃滞納が続くと「遅延損害金の発生」「連帯保証人への影響」、そして最終的には「強制退去」という深刻なリスクを背負うことに。リスク回避のためにも、適切な対処法を知ることが最善策となります。

そこで本記事では、滞納に潜む4つのリスクや強制退去までの流れを解説。

強制退去を回避するための解決策も紹介しますので、安定した生活を取り戻すための第一歩として、ぜひご一読ください。

家賃滞納のリスクとは?

家賃滞納を続けた場合、さまざまなリスクを背負うことに。

本章では、4つのリスクを紹介します。

  1. 遅延損害金が発生する
  2. 信用保証に傷がつく
  3. 連帯保証人に迷惑をかける
  4. 強制退去させられる

リスク①遅延損害金が発生する

家賃支払いの遅れは、賃貸契約における重要な違反とみなされます。

その結果、滞納した家賃に対し「遅延損害金」が発生することに。

消費者契約法第9条により、遅延損害金の条件は最大で年利14.6%と定められています。

たとえば家賃7万円を2ヶ月滞納した場合、最大で2万440円の遅延損害金が発生する仕組み。

滞納期間が長くなるほど請求額が増え続けるため、支払いが厳しい場合は何らかの対策が必要です。

家賃滞納は契約の信頼性を損ねる行為のため、繰り返されると、家主や管理会社から「継続が難しい」とも判断されるでしょう。

リスク②信用情報に傷がつく

家賃滞納が続いている方は、信用情報に傷がつく可能性が高まります。

信用情報とは、クレジットカードの契約内容や金融機関への支払い状況が記録された情報のこと。

家賃の支払いが遅れた場合、保証会社が代わりに支払う契約内容が多く見受けられます。

この場合、信用情報に「支払いの遅れ」が記載される仕組み。

2カ月(61日)以上滞納が続くとブラックリスト化され、完済してから5年以上明けないと解除されません。

ブラックリスト化されると新たな借入れやクレジットカードの契約ができないので注意しましょう。

リスク③連帯保証人に迷惑をかける

賃貸契約における家賃滞納は、借り主だけでなく、連帯保証人にも深刻な影響を及ぼします。

契約者が契約条件を満たさない場合、その責任を連帯保証人が代わりに背負うことに。

保証人の責任の範囲は「主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償そのほかその債務に従たるすべてのものを包含する」とされています。

主たる債務とは、毎月の賃料のこと。付随する債務には、以下の項目が含まれます。

  • 設備や建物の損壊にかかる修理費用(借主の故意または過失の場合)
  • 退去の際に生じる原状回復の費用

上記をふまえると、借主の家賃滞納が発生した場合、家主や賃貸管理会社は保証人に請求できるとわかります。

加えて、このような状況は保証人の信用情報に影響を及ぼす危険性も。

保証人が家賃の支払いができないと、信用情報がマイナスに書き換えられるため、新たな借入れや契約が不可能になります。

借主自身への影響だけでなく、保証人への影響も考慮に入れ、家賃の支払いを遅らせないことが重要です。

もし、支払いに問題が生じた場合は速やかに対応し、必要なら保証人にも状況を伝えましょう。

リスク④強制退去させられる

家賃滞納の重大なリスクは「強制退去」といっても過言ではないでしょう。

賃貸契約は、借り主が家賃を支払うことで家主から物件を借りて、住まいを確保できる契約です。

したがって、家賃滞納は契約の重要な違反となります。

家主や管理会社は、借主の家賃滞納が続くと滞納金額の回収だけでなく、契約を解除して退去を求めることも可能。

強制退去は法律に基づいておこなわれるので、退去が求められた場合、借主は指定期間内に物件を明け渡さなければなりません。

裁判で賃貸借契約の解除が認められ、部屋の明け渡しが決定した場合、執行官によって強制的退去を命じられます

民事執行法第42条により、強制執行の費用は債務者の負担にできるので、借金額が増える点にも注意しましょう。

家賃滞納で強制退去に至るまでの期間と流れ

家賃滞納が続き、強制退去に至るまでの期間や具体的な流れを下表にまとめました。

【滞納期間】 【強制退去までの流れ】
1~2ヶ月 ・電話や書面での督促
2ヶ月~ ・自宅訪問による督促
・連帯保証人への連絡
・内容証明郵便で督促
3ヶ月~ ・契約解除の通知
・立ち退き請求の訴訟
6ヶ月~ ・強制退去の申立て
・裁判所による強制退去の要請、執行

家主や管理会社が「強制退去」の手続きに踏み込むには、以下3つの条件がそろわなければなりません。

  • 借主の家賃滞納が3か月以上続いている
  • 借主に支払う意思がない
  • 借主と貸主の「信頼関係」が壊れている

強制退去を避けるため、督促の無視は絶対にやめましょう。

表からわかるように、支払う意思を見せずに6か月以上家賃滞納をすれば、強制退去となります。

家賃滞納に悩んでいる方へ!強制退去を回避するための解決策を解説

強制退去を避けるためには、何らかの行動を起こさなければなりません。

本章では、3つの解決策をご紹介します。

  1. 大家や不動産会社に相談する
  2. 公的な窓口へ相談する
  3. 債務整理を検討する

ひとつずつ詳しく解説します。

《解決策1》大家や不動産会社に相談する

まずは、大家や不動産会社・家賃保証会社の担当者に相談するのがおすすめです。

ご自身の現状を説明し、現在は支払いが難しいが、今後も支払いをする意志があることを伝えます。

その後、滞納している賃料の支払い計画を協議しましょう。

《解決策2》公的な窓口へ相談する

家賃の滞納が続くと強制的に退去させられる恐れがあり、早めの対応が必要です。

各自治体には相談窓口があり、一定の条件を満たしている場合、援助が受けられる場合があります。

以下、2つの制度を紹介しましょう。

  1. 住居確保給付金
  2. 生活困窮者自立支援制度

(1)住居確保給付金

住居確保給付金は、2年の間に離職や廃業・給与の減給によって家賃を支払えない場合、支給してもらえる給付金のこと。

住宅費用の一部を補填することによって、住宅環境の安定や生活の安定を支援することを目的としています。

原則として、家賃3ヶ月分を支給してもらえるので、その間に新しい職を探すことができるはず。

給付金は借主ではなく、貸主や不動産会社へ支払われます。

具体的な条件や支給額は市区町村によって異なるため、詳しい情報は各自治体や関連機関に問い合わせましょう。

まずは、最寄りの相談窓口をご確認ください。
住居確保給付金 申請・相談窓口|厚生労働省
住居確保給付金|厚生労働省

(2)生活困窮者自立支援制度

経済的な困難により生活に困窮している人々が、自立するための支援を提供することを目的とした制度です。

具体的には、次のような支援があります。

  • 【住居確保給付金】 新しい家を見つけるのに必要なお金
    (例)家賃の数か月分、引っ越し費用
  • 【自立生活支援給付金】 生活を始めるのに必要な基本的なもの
    (例)家具や生活必需品の購入費
  • 【生活支援サービス】 仕事の見つけ方や生活のアドバイスなどのサービスを提供
  • 【就労支援サービス】 仕事につくための訓練やアドバイスを提供

支援や申請の内容はお住いの地域によって違う場合があるため、所在地の自治体に問い合わせてみましょう。

まずは、最寄りの相談窓口をご確認ください。

自立相談支援機関 相談窓口一覧|厚生労働省
生活困窮者自立支援制度 制度の紹介|厚生労働省

《解決策3》債務整理を検討する

家賃滞納の原因が、消費者金融からの借入れやリボ払いの利用による借金の増加である場合、解決策として「債務整理」の検討が有効です。

債務整理には、3つの方法があります。

  • 任意整理
  • 自己破産
  • 個人再生

ここでの注意点が、滞納している家賃を債務整理の対象に含めた場合「大家から家を出ていくよう求められるかもしれない」ということ。

これを避けるために『任意整理』が有効な手段となります。任意整理ならば、特定の債務だけを対象に手続きを進めることが可能。

つまり、滞納している家賃を債務整理の対象から外せるため、大家から家を出るように求められるリスクを避けられるのです。

任意整理によって、以下の整理ができます。

  • 借入れやリボ払いなどの高い金利や手数料をカット
  • 返済期間の延長

任意整理は、借金を整理して月々の支払いにかかる負担を減らせるため、家賃も支払いやすくなるはず。

「自己破産」や「個人再生」は、家賃滞納を含むすべての借金が整理の対象となるため、最悪の場合は退去のリスクを抱えます。

強制退去の可能性を減らすためにも、早い段階から任意整理で借金の整理をしましょう。

まとめ

家賃滞納は深刻なリスクを伴います。

滞納した場合、遅延損害金が発生するだけでなく、連帯保証人に負担が及ぶ可能性も。

6か月以上の家賃滞納が続けば、最悪の場合「強制退去」を迫られるでしょう。

対策として、まずは大家や不動産会社に自身の状況を説明し、滞納金の支払い方法について協議することが大切です。

また「住居確保給付金」や「生活困窮者自立支援制度」といった、自治体の援助制度を活用するのも一つの手。

滞納の原因が借金であれば『債務整理』を検討しましょう。家賃滞納に対する対策は、個人の状況によって異なります。

自身の経済状況を正確に把握したうえで、早急に適切な対応をとることが重要です。

 

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